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はじめて髮を短くした日

はじめて髪を短くした日 エッセイ

似てゐる藝能人:壇蜜

別に、これは自称ではないのでご容赦戴きたい。まあ、ワンレングスの長髮で、目が大きくてあまり特徴の無い顏面の美人の代表格とも云へるかもしれない、壇蜜さんつぽいと云はれた事があるのだ。

もう一人はお笑い藝人ロバートの秋山竜次である。彼も確かにワンレングスの長髪で、目が大きい。あんなに色は黒くないが、似てないと云へば嘘になる。

初めてのショートカット

實は不惑を過ぎ、髮の毛の量が全體的に少なくなつてゐてなんだか貧相になつてしまつたこと等を鑑みて、髪を思ひ切つてショートにしてみる事にしてみた。

「ばつさりショートにしてください。前髮は眉毛の少し下になる程度で、ピアスするから耳は出したいです、襟足も短くお願ひします」

さう註文すると、美容師さんはあつと云ふ間に長年伸ばしてゐた髮の毛を容赦なくバサバサと切つた。みるみるうちに髮の毛は短くなつていく。

流石プロである。完成した髮の毛は註文通りにいい感じのショートヘアだ。

しかし――問題は家に歸つて、スタイリング剤を落とした時の、スッピンの髮の毛の仕上がりだ。私は髮の毛が全體的にうねつてをり、ショートヘアにするのを躊躇したのも「髮をまとめることによりうねりなどをすべてなかつた事にする」技法が使へなくなるからである。

壇蜜から◯◯へ

その日風呂に入り、リンスのつけ方に迷ひながら髮を洗ひ、短くなつた髮の毛をワシワシとタオルで乾かして、メガネをかけて洗面臺でぢつと己の顏をみた。

――ハリセンボンの春菜だ。しかも、スッピンなので、おそらく休日の春菜である。

それはさうだ、特徴のない顏の人間がショートカットにして、前髮を作つて、メガネをかけたら、「人類汎用顏面兵器」ハリセンボンの春菜に似る。多分、重力によつて樹に實つた林檎が地面に落ちる位當たり前なのかもしれない。

壇蜜に似てゐたのも私、春菜みたいになつたのも私

だが、別に春菜つぽいのがいけないと云ふ譯ではない。多分、見慣れないこのヘアスタイルが似合ふやうになつていくのは、これからなのだらう。

頭の何處に毛があるのか、自分の頭を撫で囘して、ああ、耳の後ろと髮の毛の境目つて此處なんだ、とか、あッ、首にも毛が生えてゐる、とか、色々發見があつた。自分の頭をまじまじ觸つた事なんて今までなかつた氣がする。

不惑を過ぎて自分の事を改めて知る事が出來た。これもまた、面白いのではないか。

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